杉本純のブログ

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映画『最高の人生の見つけ方』を観た。

映画『最高の人生の見つけ方』を観た。これは2007年にアメリカで公開された映画で、日本では2008年に公開された。主演はジャック・ニコルソンモーガン・フリーマンで、監督は『スタンド・バイ・ミー』のロブ・ライナーである。日本ではこれを原案にしたリメイク映画が吉永小百合天海祐希の共演で2019年に公開されている。

余命六か月を宣告された二人の男が、人生でやりのことしたことを実行するために冒険の旅に出る話。原題の“THE BUCKET LIST”は映画の中では「棺桶のリスト」という意味らしく、モーガン・フリーマンが大学の哲学の先生に教わった、より良い人生を送るために記す、死ぬまでにやりたいことリストのこと。だがbucketの意味は「バケツ」で、「棺桶」はa coffinとかa casketとか言うらしい。bucket=棺桶は、隠語か何かかも知れない。

実はこの映画、個人的に気になることがあって観た。十年くらい前、ある講演会の取材で登壇者がこの映画を紹介していたのである。講演のテーマは資産形成だったか相続だったかで、この映画を紹介しつつ、皆さんもやりたいことをやるための計画を立てよう、と登壇者は言っていた。来場者の大半は高齢の個人投資家だった。

以来この映画のことはずっと覚えていて、かつまた自分自身が家族の人生の最後を考える時期に差し掛かったということもあり、時間があったら観たい映画の上位に入ってきていた。それで、このたびの巣ごもり盆でようやく観る機会を得た。

痛快な話である。爺さん二人がスカイダイビングやカーレースをやり、ピラミッドに登ったりヒマラヤに行ったりする。ジャック・ニコルソンが大金持ちの実業家で、お金はいくらでもあるので何でもできてしまう。普通ならこんなこと、できるんだろうか。モーガン・フリーマンは自動車工場の労働者で、病室でジャック・ニコルソンに出会わなければこの冒険の旅はできなかった。

またジャック・ニコルソンの秘書がかなり優秀な人らしく、余命六か月の爺さん二人がほぼ何不自由なく世界旅行を満喫できる。二人とも身体は病魔に蝕まれているが、薬などで対処しており旺盛である。そういう設定の細かい部分をしっかり見せているので、普通に考えれば実現困難だと思われることがリアリティを持つのだろうが、やはりジャック・ニコルソンモーガン・フリーマンの演技力が優れているのが大きいだろうと私は思った。

「人生に意味なんてない」といったメッセージが映画の中であったが、それを聞いて私は、なんか今日的だなぁ、と感じた(昔もそういう言説はあったが)。人生はけっきょく笑ったもん勝ちなのだろう。