杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

設計図

星山博之のアニメシナリオ教室』(雷鳥社、2007年)を拾い読みしているのだが、これは隠れた?名著かも知れないと思っている。

「1日目」の第3項「シナリオライターは何をするのか?」は、「一言で言えば映像の設計図をつくることである」とある。そして、

 家の建築は設計図がいい加減のものだったら絶対に良いものができないことを想像して欲しい。大工や内装がどんなに頑張っても、設計の欠陥は穴埋めができない。

とある。上記を読んで、良きシナリオから悪しき映画ができることはあるが、悪しきシナリオから良き映画ができることは絶対にない、という黒澤明の言葉を思い出した。もちろん物の良し悪しは究極は相対的なわけだが、ここで言う「絶対に」は、要するにシナリオ作家としての気概が示されているのだと思う。設計が良くないと完成品が良くならないというのは、小説も恐らく同じだろう。