杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

郷土史の宝庫

板橋区教育委員会の『写真は語る』(1988年)、『写真は語る 総集編』(1994年)を読んだ。これは「広報いたばし」にかつて連載された記事を集成したもので、板橋区の在りし日の姿を映した写真に関する様々な逸話を複数の書き手が記したものだが、まさに郷土史の宝庫といえる。

紹介されている逸話は、中山道や板橋宿についてのものから、庚申塔やら寺社仏閣やら郷土藝能、川や田んぼや坂道や池に関するものまで、実に多彩である。板橋区在住の私の自宅近くが取り上げられ、しかも私がぜんぜん知らなかったことも多く、地元のそこかしこの細部にその歴史の記憶が留められていることを改めて思い知らされた。

人間が映っている写真も多く、そこには様々なドラマもあったろうと想像できて、小説の題材にできそうな気さえする。