杉本純のブログ

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しったり坂

板橋区の赤塚諏訪神社の裏手の道を西側に少し行くと、「しったり坂」という坂道があります。

都立赤塚公園大門地区の方へ下りていく道で、板橋区教育委員会文化財シリーズ第76集“まち博”ガイドブック 下赤塚・成増・徳丸・高島平地区編』(1994年)の地図にその名が載っています。坂道は階段になっていますが、昔はただの坂道だったと思われます。

『ガイドブック』によると、この坂は農民が赤塚から徳丸田んぼ(高島平)に向かう時に通るための大切な道だったそうですが、かなり急な坂道である上、道が「く」の字に曲がっているため、通るのは楽ではなかったそうです。

農作業用の機具や収穫物を運ぶのには苦労したらしく、大八車を押す人が腰を落として進む姿から「尻垂れる坂」と呼ばれ、いつしか「しったり坂」となったそうな。他には、坂の途中で湧水が出ていて湿り気の多い坂だったから、という説など色々あるそうです。

現地に足を運んで見ると(高島平側から行きました)、なるほど階段でなければこれはけっこうな坂。たしかに、大八車を押して上るのはきつかったでしょう。そして道の脇には湧水と思われる水が通っているところも。

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けっこうな坂です

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「く」の字?に曲がっています

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道の脇には湧水らしき水が通っています

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坂を上り切ったところ。奥のこんもりしたところが赤塚諏訪神社

「しったり坂」は、赤塚公園大門地区から行くとすると、散策路から脇道へ入っていくことになります。目立たない道ですが、昔の人々にとっては大切な坂道だったのです。

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