人間の脳には「マジック7」と呼ばれる性質があるらしい。同時に脳の中で保持したり系列化したりできる要素は、多い人で七つ、少ない人で三つで、5±2が標準的と言われているそうだ。築山節『脳が冴える15の習慣』（生活人新書、2006年）に書いてあった。
パソコンでいえばCPUかメモリの能力みたいなものかと思うが、とにかく同時に抱え込む情報をなるべく少なくし、それに集中する方が効率もスピードもアップする、というのは私も長年の経験からほぼ確信している。
マルチタスクは脳を疲れさせ、物忘れを加速させると思う。私は学校で映画制作をしていた頃、全てのシーンを暗記して、このシーンとそのシーンを入れ替えればこんな印象を与えられるようになるんじゃないか、と頭の中だけで想像し、監督と議論していた。恐らく、脳が一個の映画にだけ集中していれば、そうした話は誰でも難なくできるはず。しかし抱える業務が多くなればなるほど、細かい部分を認識・把握しにくくなってくると思う。きっと私は、学生時代にやっていたのと同じことを今やろうとしても、無理だろう。
できる限り同時に抱える仕事を少なくし、脳の負担を軽くして、集中力を高めて仕事に当たりたいものだ。
