杉本純のブログ

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「絶対」の探求

バルザックに『「絶対」の探求』という長篇小説があるが、私がバルザックの諸作品を読んで感じるのは、『「絶対」の探求』に限らず、バルザックの主人公ってそのほとんどが「絶対」を探求しているんだろうな、ということ。

主人公たちはいずれも怪物然とした強烈な性格の持ち主だが、そのあまりに強い情熱ゆえに、周囲との軋轢を生じ、ついには我が身を滅ぼすことになる。女主人公であれば、慈善活動とか禁欲生活に入って宗教家めいた人生を送る人もいる。

その怪物じみた性格、強すぎる情熱で追い求めるのは何かというと、つまり何らかの「絶対」的なもの、といった感じを受ける。絶対的な地位、絶対的な愛、絶対的な富、などである。