杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

カラーバス効果

柳生雄寛『なかなか自分で決められない人のための「決める」技術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2019年)は、ある人がネットでおすすめしていたので手に取った。

世の中には「決める」と「思っている」を混同している人が多く、そういう人は「決めた」と「思っている」だけで、実際には何も決めてはいない、と本書は述べる。その上で、「決める」とは実行につながることであり、行動が伴わないものはただ思っているに過ぎない、という。そして、ではどうすれば「決める」ことができるのか、について細かく述べている。

この中に「カラーバス効果」という言葉が出てくる(第3章 物事を速く正しく決めるコツ)。

例えば、赤いスポーツカーが欲しいと思った途端に、不思議なことに街中で赤いスポーツカーばかりが目に飛び込んでくる。そんな風に、ある一つのことを意識すると、それに関する情報が無意識に自分の手元にたくさん集まってくるようになる現象のことをいうそうだ。

これは私もこれまで何度も体験したことのある現象である。例えばマンションやビルの知識が増えて興味が増してくると、街中を歩いていたら建物の意匠に意識が向くようになる。

あるいは、新聞をななめ読みしている時、経済や文化の領域で気になっていることが直接でも間接的にでも載っていると、そこに必ず目が留まる。こういうのも、一種のカラーバス効果ではないかと思う。

クリエイティブの業界では「アンテナを張る」などと言う(他の業界でも言うかもかも知れないが)。これは、ある物事について頭の中で意識しておく(アンテナを張っておく)ことであり、そうしていると、生活する中で何かを見聞きした時にピンと来たり、閃いたり気づいたりする。ある人は「空気に爪を立てる」とも言っていた。ものを作る上で重要な習慣だと思う。