杉本純のブログ

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佐伯一麦と内田百閒

『別冊太陽 内田百閒 イヤダカラ、イヤダの流儀』(平凡社、2008年)は内田百閒について特別編集した豪華な一冊で、さまざまな人の随筆が載っている中で佐伯一麦の寄稿もある。

「百閒の月」というタイトルで、百閒の「東京焼盡」に出てくる月齢の記述から百閒の心境に思いを馳せている随筆である。「東京焼盡」からの引用が多く、ほぼその内容をなぞりながらちょっと感想を述べている程度の内容。

とはいえ、佐伯は花鳥風月に敏感であり意識的でもあり、その小説、たとえば「二十六夜待ち」などを読めば、佐伯が「月」に対しこだわりを持っているのも窺えるので、その意味ではこの随筆も興味深い気がする。