杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

強さと弱さ

以前、このブログで「心の弱さについて」という記事を書いたが、同じことはチャンドラーが小説を通して言っていたのだ。そのことは、東日本大震災の後に原発問題について考えた時、小出裕章さんが話す動画を通して知った。

調べてみたら、どうやらチャンドラーが『プレイバック』という小説で探偵のフィリップ・マーロウに語らせた言葉であるらしい。

強くなければ生きられない。優しくなれないなら生きる価値がない。

というもの。「強く」「優しく」の部分は訳者によって訳語が異なるようだが、ごく大雑把に捉えば、生きるには強さが必要で、人生を味わうには弱さがなければならない、ということで良いのではないかと思う。

職場や家庭や地元など、もろもろの人間関係というのは端倪すべからざるもので、仲の好さ悪さというのは絶えず移り変わってゆくもの。長年仲が好い相手というのもいるはずだが、そういう人でも、お互いの事情に変化があれば関係性は必ず変わる。

それが人間関係であり、結婚生活も会社生活も容易に変化したり終わったりするようになった今の世の中では、ある意味では昔以上の精神のタフさが求められるように思う。