杉本純のブログ

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佐伯一麦と東大寺

佐伯一麦『月を見あげて 第三集』(河北新報出版センター、2015年)の「大和路を歩く」に、興味深い記述がある。バスで東大寺に行った時のくだりなのだが、

 大仏殿の大屋根を飾る金色の鴟尾を眺めながら、大仏殿の昭和の大修理が行われていた頃、二十歳前後だった私は、たびたび大和路を歩いたことが思い出された。一九八〇(昭和五十五)年に大修理が終わり、落慶法要が行われた際には、それに合わせたテレビ番組の取材構成を受け持ったこともあった。

1978年に仙台から上京した佐伯は、蟠竜社というフリーライターの事務所に勤め、企画、取材、原稿執筆を全て行うライターを四年ほど続けた(二瓶浩明による年譜)。したがって、1980年当時はまだフリーライター業を続けていたことになるが、東大寺のテレビ番組の取材もその一環で引き受けたのだろうか。

1980年の東大寺落慶法要というと、実は私自身も、当時は生まれて間もない頃だが間接のそのまた間接的くらいに関係がある事案なので、佐伯のこの仕事が気になって仕方がない。。

それにしてもその番組は何というのだろう。