アンテナを張る、という言葉に近い意味の言葉として、「空気に爪を立てる」という言葉を聞いたことがある。何でもない風景の中に何かを発見できるようにするために、情報感度を高くすることだ。この言葉、聞いてからけっこう気に入っている。
私は外を歩く時、特別に何か考え事をしていない限り、それこそ空気に爪を立てるようにしている。また考え事も、なるべくならしないようにしている。空や木々の色、建物の意匠や設計、商店の外観、すれ違う人間などなど、ただ眺めわたすだけでなく、ちょっとだけ目をギョロッとさせて見るのだ。
そうすると、いつもは何も考えず通っているだけの地元や、職場のある街にもいろんな発見がある。賃貸マンションがやたら凝った外観デザインを施していたり、毎朝ほぼ同じ時間に通り過ぎる並木道の梢が、冬から春に移るにつれて丸坊主から少しずつ緑が増えてくるのがわかる。
ブログネタを発見することも少なくなく、仕事に関するアイデアが閃くこともけっこうある。