杉本純のブログ

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「雪だるまの芯」

朝日新聞の日曜朝刊で連載されている「仕事力」は、2月3日から四週にわたり歴史の磯田道史先生だった。この人の言うことは、専門的なことはよく分からないが物の考え方や仕事観などは面白くてためになる。「仕事力」の連載でも、面白い言葉があった。「雪だるまの芯」という言葉。

 専門性という言葉で呼ばれることが多いですが、言い換えて「それがやりたくて仕方がないという気持ちの結果」を仕事とせよ、と僕は伝えたい。誰が何と言おうと没入する興味の核、それに自分が腹落ちしてから仕事を考えて欲しい。そんな悠長なことを言っていられるかと思いますか。しかし、資本主義社会はお金がお金を生むシステムになっているので、生き抜くためには雪だるまの芯のように尽きない知識資本が仕事力を左右するでしょう。

私は好きなことを仕事にするのが良いと思っているので、上の文を読んだ時は我が意を得たりという感じだった。ちなみに私は大学卒業後、そのまま社会に出るのがまったく納得できず日本映画学校に入り、三年間映画をやっていた。小説を書いていこうと思ったのはさらにその後だったが、もし大学を出てそのまま就職などしていたら、何ごとにも身が入らず駄目な人間になっていただろう。

人間、やはり「これ!」と思うものにぶち当たるまで自分に向き合うべきではないだろうか。それまでは七転八倒で苦しい時間が続くと思うが、そうしてぶち当たった「これ!」が、磯田先生の言う「雪だるまの芯」つまり「知識資本」になると思う。