#MeToo運動の発端と波紋を取り上げたNHKのドキュメンタリー「アナザーストーリーズ」を見た(2019年2月5日放送)。
この番組を見ると、日本はアメリカほど#MeToo運動が盛んではないように感じるが、さすがに私も知っている。映画プロデューサーのみならず映画監督、映画俳優にも告発された人がいたはずで、真実か嘘かが分からないこともあるが、藝能界の見えない部分が顔を見せた感じはある(まあ、こういうことは昔からずっとあったんだろうとも思う)。
「アナザーストーリーズ」は毎回たいてい三人の視点から一つの出来事が見つめられる。この回はニューヨーク・タイムズ編集者、元ミス・アメリカ、性暴力事件専門の弁護士の三人。この中で最も感銘を受けたのは、第一の視点のニューヨーク・タイムズ編集者のレベッカ・コルベットの言葉。テーマである#MeTooとは直接関係がないが、コルベットの長い現場経験を感じさせる言葉だった。
新聞記事とは 別の記事をきっかけに 取材が始まるものです
#MeToo運動のきっかけとなるハービー・ワインスティーンのセクハラ告発記事の取材が、別の記事をきっかけに始まったことを示唆するものだが、これはすごい卓見だと思った。複数の新聞記事は、つながっているのだ。まぁ…それはジャーナリストであればとうぜん分かっていることなのだろうが、私はジャーナリストとは別の種類のライターということもあってか、認識が不足していた。
たしかに、思い返すと、タウン誌ライターをしていた時代、人にインタビューをすると別の人の話題が出てきて、その人と話題が新たな企画になった、ということがあった。
調べ物をしていても、特定の人物について調べていたら、その関係人物がどんどん出てきて、その中にも調べたくなる人がいることはよくある。
調べ物と書き物が、新たな調べ物と書き物を生む。