杉本純のブログ

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夜郎自大

夜郎自大」という語を最近知った。自分の力量を知らずに仲間内で尊大に構えることだ。私自身、そういうお馬鹿をやらかしたこと、一度や二度じゃなかったなぁと忸怩たる思いも持った。

また、この語を知って即座に思い出したのは、主に二十代の頃に接した人びとだ。会社の経営者や同僚、文学同人のメンバーなどなど、外の世界を知らずに「俺たちの作っているものは相当なレベルに達している」などとほざく奴がいっぱいいた。私は…どちらかというとそういう人たちに同調していたクチで、まったく馬鹿な奴だったと思う。

そういう人らに共通していたのは、他の会社や文学同人にあまり目を向けていなかったことだ。つまり他にどういう人らがどういうものを作っているのか知らず、知ろうともしていなかった。これでは夜郎自大にならない方がおかしかったわけだが、周囲を眺めようともせず自大になっていたのだから滑稽だ。

私はライターとして十年を超えるキャリアを持っているが、今では、今まで身につけてきたことが勤め先以外の世界でも通用するとはぜんぜん思っていない。いわゆる「ライター」の道を極めたいわけではないので、別に他のライターがどういう考えや手法なのか、あまり興味もないけれど、私より書くのが早い人、巧い人はいるに違いないと思っている。