杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

二人しか読んでいないシナリオ

先日、長いこと実家に置いていた長篇シナリオを私の自宅に送ってもらった。

シナリオは「東京放浪記」というタイトルで、私が日本映画学校の一年生だった時期に書いたもの。到着した日に再読してみて、そのあまりに幼稚な内容に啞然とし、やがて失笑した。

演劇を志す愛知出身の高校生が、名古屋大学を受験して落っこちるが演劇の夢を追うため家出をして、高校の先輩が参加している東京の劇団に入り、やがてホームレスになってしまい、母親がそこまで訪ねてくる、という話。

家族もの・青春ものとしてかなり通俗的な筋で、全体に陳腐であるのを認めざるを得ない。何より、名大を受験するほどの高校生が演劇のために進学の道を抛棄するとは思えない(これは、私の記憶が正しければ脚本の指導をしてくれた映画学校講師の助言に従って「名大」にしたはずで、講師はたとえ名大志望でもこういう無謀な高校生は皆無ではないだろうと言っていた)。

このシナリオを読んだのは世界に二人しかいないはずだ。学校の講師と、私の親である。講師からは、「主人公も親もバカ」と言われ、親には、書いたお前の気持ちがよく伝わると好意的に受け止められた。対照的だが、前者の方が正しい指摘であったのは間違いない。

この作品を姉妹ブログ「創作の部屋」に公開しようかどうか、ちょっと悩んだが、やはり公開したいので公開する。

愚作だが、形にはなっている。乞うご期待。

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