スティーブ・ジョブズはスタンフォード大学でのスピーチで、最後に“Stay hungry. Stay foolish.”と言ったそうな。これはジョブズの名言として有名な言葉で、単純に訳すと「ハングリーであれ。愚かであれ。」といった意味になるそうだ。
私はこの言葉はかなり大切だと考えていて、例えばやりたいことにチャレンジする時には賢さよりも馬鹿さの方が必要だと思う。自分の限界を自分で勝手に決めてしまい、見限って安易な道を選ぶよりも、限界など決めず欲望に正直に生きる方が大切。もちろん破滅を招くような無謀、向こう見ずとは違う。また、世の中には可能なことよりも不可能なことの方が多い。そんなことは、分かっている。その上で、そう考えるのである。
人と話しているとたまに思うのが、「ああ、この人は愚かではないな」ということだ。世間のことをある程度知り、会社の仕事も覚え業界の知識も身に付き、自分の実力や限界もだいたい分かっているのか、話をする前提において、新しいことへのチャレンジや未知の事柄について学ぶ選択肢が除外されている。大きな目標など抱かず、何事も分相応、守りに入ってしまっているのだ。その点私は、物書きになる目標を捨てておらず、実際に取り組んでもいて、ゆっくりでもいいから形にして出し続ければいつか道は開けると思っている。
それは周囲の人からすれば「愚かな奴」なのかも知れない。しかし、レベルの低い地方の私大と映画学校を出た私が、今こうしてライターとして仕事ができているのも、ある意味ではやりたいことに愚直に取り組む「愚か者」だったからだと思っている。それに、では馬鹿ではない人は、一回きりの人生でやりたいことをやろうとせず守りに入って、どうしようというのだろう。
知識を身に付けることは重視しているが、身に付けた上で安易に自分を見限らない方がいい。むしろ、自分の限界を突破するために、身につけた知識を使うべきだ。