杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

相手の負担を軽くする

こないだ久しぶりに照屋華子『ロジカル・ライティング』(東洋経済新報社、2006年)を手に取り、ぱらぱら読んだ。その帯には「あなたは読み手に「解読」を迫っていませんか?」という言葉がある。文章は、できるだけ読みやすく、分かりやすく書くことが大事だと思っている私としては我が意を得たりだった。

以前、ある後輩ライターが書いた原稿に対し、もうちょっと情報を整理し、かつ具体性を持たせて書くと良いとアドバイスしたが、つまり「読みやすく、分かりやすく」ということ。そのライターが見せてきた人物インタビューの原稿は、対象人物に関するあらゆる情報が整理されず混ざったままで、さながらいろんな食材が盛り付けられず一皿にぐちゃぐちゃっと抛り込まれたような状態だった。

しかしながら食材はひとまず全部入れてあるので、とりあえず過不足はない。ただし読みにくい。つまり、上記のように「読み手に「解読」を迫る」原稿だった。純文学ならいざ知らず、なべて文章はすべからく読みやすく、分かりやすいものであるべき。『ロジカル・ライティング』の内容は記事に書くべき情報を整理するという意味では使える本だと思うので、そのライターにこんど貸そうかと考えている。

文章のみならずデザインも、見やすく、分かりやすくすることが大事じゃなかろうかと思う。クリエイティブの世界に身を置いていて、しばしばそう感じるのだ。

情報を得ようとする相手に楽をさせる、相手の負担をできるだけ軽くすることが、クリエイティブじゃないかと思う。