杉本純のブログ

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親の一言

「eスポーツ」という言葉を最近知った。エレクトロニック・スポーツの略で、スポーツとしてのコンピューターゲームという意味である。アマチュアだけでなく、年収1億円を稼ぎ出すプロもいるらしく、海外遠征の際はアスリートビザが発行されるというからすごい。

私の小中学生時代は「スト2」などの格闘ゲームが流行った。駅前のおもちゃ屋はゲームセンターに改装し連日多くの子供が入るようになって繁盛していたし、スーパーファミコンでも同じようなゲームが出て夢中になる人が多かった。しかし私は、最終的にゲームには血道を上げることはなかった。

実は、私も他の子供たちと同様、一時期は夢中になっていた。具体的に言うと、それは大学時代まで続いた。しかし、大学生の頃に「FF9」が出て、それをクリアした日にプレステごと中古ゲーム屋に売りに行き、それでほぼ完全に縁を切った。それ以降は、ショッピングセンターのゲームコーナーなどで気晴らし程度にやるのみである。

どうして私がそういう方に進まず、今もゲームにほぼ見向きもしないかというと、親の教育方針によるところが大きかったろうと思う。

中学生時代、周囲の友達の中でスーパーファミコンの「スト2」が最も強いのは私だった。しかし、そのことを母親に自慢したら、「私は、自分の息子は格闘ゲームだけは他所の子に絶対負けません、とはとても言えない」と言われた。この言葉は親の教育の考え方をかなり端的に物語っていたと思う。高橋名人は当時すでにいたはずだが、プロゲーマーとかeスポーツなどというのはぜんぜんポピュラーではない時代だった。けれども、そういう人がどれだけいたとしても親の考えは同じだったろうと思う。

二十年以上前に言われたその一言は今も心の中にあり、当時は心の中でいくらか反発したはずだが、今、教養を身につけること、読書や勉強を大切にすることを私が重視する気持ちには、そのような親の考えが強く影響しているだろうと思う。