杉本純のブログ

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悪縁は良縁を駆逐する

スポーツには関心が薄いが、今朝の新聞に、例の日大アメフト部の悪質タックル問題で、タックルをした学生本人が部に復帰したい意向を示したというニュースが出ていて、良かったと思った。

この問題について、報じられている以上に詳しいことは知らない。しかし、学生が以前もうアメフトはやりたくないと言っていたのが、許されるなら復帰したいと語ったということは、つまり、好きだったことを嫌いになりかけたが、自分を見つめ直し、嫌いにならずに済んだ、ということではないだろうか。だとしたら、良かったと思う。

好きで始めたことなのに、やがてそれを嫌いになってしまうのは辛いことだ。

それはべつにスポーツに限らない。私の周辺では、ライター業務においてそういう風になる人がいる。文章を書きたい、取材が好きだと思ってライターの世界に入ったものの、そこで馬車馬のように働かされた挙げ句、ライターの仕事を嫌いになってしまう。もう二度とライターなんてやりたくない、というわけだ。今まで、そういう人を何人か見た。

好きなのにどうして嫌いになるのかというと、恐らく、それを続ける過程で悪縁に出会ってしまったからだろう。悪縁とは、嫌な上司や経営者、チームメンバーなど、要するに望ましくない人間関係である。

どんなに好きなことでも、集団に属する以上、その集団内の力関係の中でやることになる。その関係が不本意なものであればあるほど、集団ですること全部が苦痛になり、やがては自分が好きだと思っていたことさえも嫌いになってしまう。まるで悪縁が良縁を駆逐するが如くである。

ただ、そういう人でも、心底ライターのことを嫌いになったわけではないので、一度退いてもしばらくしたら戻ってくることもある。もちろん、ライターってなんかかっこいいと思うから、クリエイティブなことをやってみたいから、などという生半可な気持ちでやり始めて、やがて飽きてしまう人もいるが。

好きなことを嫌いになるくらいなら、悪縁の方を手っ取り早く断ち切ってしまう方が良い。それは部活であれ、企業の中であれ何であれ、変わらないと思う。

苦しいんなら続けるのをやめてとっとと逃げちまえ、ということではない。