杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

毎日書くこと

小説の書き方本や「公募ガイド」の作家デビュー特集などを見ると、こんな本がオススメという風に、別の書き方本が紹介されていることがある。スティーヴン・キングの『書くことについて』(小学館文庫、2013年)を、その中で数回見たことがある。

この本は2010年にアメリカで刊行された「On Writing: 10th Anniversary Edition: A memoir of the Craft」の日本初訳である。キングが自身の生い立ちや『キャリー』などの作品の成立事情を述べつつ、小説を書くことについての覚書を書いている。

キングは小説を午前中に書くことにしていると言っている。続いて、

いったんとりかかったら、よほどのことがないかぎり中断もしないし、ペースダウンもしない。毎日こつこつと書きつづっていないと、頭の中で登場人物が艶を失い、薄っぺらになってしまう。語り口は切れ味が鈍り、プロットやペースを制御することができなくなる。なお悪いことに、新しいストーリーを紡ぎだす感興そのものが色褪せてしまう。こうなると、仕事は苦役と変わりなくなる。

と書いている(田村義進訳)。

以前、佐伯一麦が激務が続く中で小説を書く時間を作れなかったことをこのブログに書いたが、やはり毎日書き続けなくては作品がだんだん頭から遊離していってしまう。

私はかつて何度か新人賞に応募して敗退した。これから作品を書くとしたら、上記を必ず実践できる環境を作らなくてはならないと思っている。