杉本純のブログ

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インタビューは下手

ライターの仕事をしていて最も楽しいのは、やはりインタビューである。しかし、私はインタビューがそんなに得意ではないし、上手くもないと思っている。

私の周囲のライターには私よりインタビューが上手い人が何人もいるし、その人の取材に同行してインタビューしているのを見ると、自分にはこういうインタビューは無理だな、思わせられることが少なくない。

インタビューが上手い人というと、私には大きく2パターン考えられる。一つは人とのコミュニケーションが上手い人で、上に述べた、私には無理だと思う取材をする人である。この人は、相手の発言によく反応し、相手が喜ぶ言葉を言って上機嫌にさせ、自分の考えなども述べたりしつつ話をどんどん引き出していく。これはけっこう、当人の資質が強く影響しているもので、私のように話し下手な人間はいくら頑張ってもこうはできないと思う。

もう一つは、話題に関する知識を多く身につけている人である。このタイプは、言わば得意分野で磨きをかけて勝負するライターで、フリーの人には多いのかもしれない。インタビュー相手よりもどちらかというとその得意分野のトピックや技術などに興味を持っており、業界のこともけっこう知っている。言わば、その分野の年表と地図があるていど頭に入っていて、インタビュイーをその中に位置付けた上で話を聞く。私は、こっちの方面ならば努力次第で向上していけると思っている。

前者が感性で勝負するタイプだとしたら、後者は知識で勝負するタイプだと思う。もちろん、全てのライターが画然とどちらかに属するというわけではなく、誰もが双方の傾向を何割か持ち合わせ、強いて求めればどちらかの傾向が濃厚に見て取れる、という程度のこと。ちなみに私はどちらかといえば後者だと自分では考えている。

NHKの「クローズアップ現代+」を見ると、往々にして、MCがゲストの言葉によく反応できていないと思うことがある。逆に、生放送のケースは少ないがお笑い芸人の司会ぶりを見ると、相手を褒めたり落としたり、実に巧みである(ただし、これは相手から話を引き出すのが上手い、というのと同義ではないが)。