杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

近藤勇の墓

JR板橋駅で降りたので近藤勇の墓に行ってきた。 墓は寿徳寺という真言宗の寺の境外墓地にあり、板橋区の歴史スポットになっているが所在地は北区である。 ここには近藤の胴体が埋葬されているらしく、供養塔には近藤の名前と副長・土方歳三の名も刻まれてい…

日本初の国営公園・武蔵丘陵森林公園

久しぶりに森林公園に行ってきた。正式な名前は「国営武蔵丘陵森林公園」。 全国で初めての国営公園である。 今日は祝日なので入園無料だった。そのためか来園者がやたら多くてどの遊具にも子供がたくさん集まっていた。写真は人をなるべく避けて撮影したの…

西台のトミコシ会館

都営三田線西台駅から徒歩で5分とかからない場所に「トミコシ会館」が建っている。 竣工は1972年であるらしく、高島平団地が入居を開始したのと同年である。その前年には全国的なボウリングブームが起きており、会館の3、4階にある「トミコシ高島平ボウル」…

インタビュイーの発言の真偽

インタビューの仕事で問題になることの一つに、インタビュイーの発言は事実かどうか、がある。ジャーナリズムであればこの問題は大きいだろうが、そうでなくても、インタビュイーが過去の一般的な事実について記憶を頼りに語ったのなら、それが本当かどうか…

これまでに読んだ小説の書き方本

備忘録としても記しておこうと思い、以下に列挙する。 ・大岡昇平『現代小説作法』(文藝春秋新社、1962年)・丹羽文雄『小説作法』(角川文庫、1965年)・大江健三郎『新しい文学のために』(岩波新書、1988年)・大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』…

梅原龍三郎のカバー

このほどオープンした「神保町ブックセンター with Iwanami Books」行ってきた。 同じ場所に元々あった岩波ブックセンター信山社が閉店したのは2016年11月のこと。その後、同じような店はできないのだろうかと思っていたが、新しいこの店は岩波の書籍を中心…

安田善次郎の伝記

北康利『銀行王・安田善次郎伝』(新潮文庫、2013年)を読んだ。 安田財閥の祖・安田善次郎(1838~1921)は、越中富山の農民の家に生まれ、20歳の時に上京。両替商として成功し、財閥を築いた。本書は、「銀行王」としての善次郎の行状を辿りながら、単なる…

映画『団地』を観た。

阪本順治監督の『団地』(2016年)を観た。 阪本監督が特典映像で、ビッグバンはどこで起きたのか、人は死んだ後にどこへ行くのか、の二つをテーマにした、と語っていたが、なんとも不思議な映画だった。私は団地で生まれ育ち今も団地に住んでいるけれど、こ…

荒川の聖域

3月29日にリニューアルオープンした「荒川戸田橋緑地生物生態園」に行ってきた。 元々は板橋区が自然生態系の回復と保全を目的に1996年に新設したが、自然災害などの影響を受け断念し、2016年10月より改修工事を行ってこのたび一般開放した。近くにこういう…

ビルヂング

今日の朝日新聞の「be」の「街のB級言葉図鑑」はビル名称に使われる「ビルヂング」という言葉に触れている。 昔は「di」を「ヂ」と表記することがあった、とあり、「ラヂオ」などもその一例だ、とある。もちろん、「ビルヂング」で統一されていたわけではな…

大日本印刷と勝海舟

矢作勝美『伝記と自伝の方法』(出版ニュース社、1971年)には大日本印刷創業者の佐久間貞一について書かれている。前身会社の「秀英舎」は、佐久間が宏仏海、大内青巒らとともに「高橋活版所」を買い取って始めたもので、社名を付けたのは勝海舟だった。 勝…

東武鉄道と小林一三

板橋区教育委員会発行の「常盤台住宅物語」(1999年)には、常盤台を開発した東武鉄道は小林一三の沿線開発に影響を受けていたと書かれている。 池袋に「東武デパート」、さらに遊興施設としては「東武動物公園」があるなど、明らかに小林一三の影響を受けて…

レファ協のレファ事例が面白い

国立国会図書館レファ協のTwitter公式アカウントをフォローしているが、たまに変わったレファレンス事例がツイートされていて面白い。クスッと笑えて、ついリツイートしてしまう。 ・杉田玄白がコーヒーを飲んだ、という記録はないか。・映画監督黒澤明氏の…

ノンフィクションの書き方

加藤恭子編著『ノンフィクションの書き方』(はまの出版、1998年)を読んだ。 加藤は1929年東京生まれ。フランス中世文学が専門だが、伝記をはじめとしたノンフィクション作品を多数書いている。上智大学でフランス語教師として長く教鞭を執り、定年退職後は…

自分軸、自己本位、漱石。

近ごろよく「自分軸」という言葉が耳目に触れる。手元の辞書には載っていないが、使われ方から察するに、「“自分の内部”に設けられた、物事の判断や行動の基準」といった意味ではないかと思う。自分の内部に基準(軸)がある。だから「自分軸」である。 しか…

東京のビルを見るのが楽しくなる「東京人」5月号

「東京人」5月号は「ビル散歩」という特集を組んでおり、書店で立ち読みしたらやたら面白そうだったので買ってしまった。特集は1960から70年代に建てられた傑作ビルを紹介し、その他にも多様な観点からビルを読み解いていて、実に楽しい。 特集の記事の一つ…

「眠れない夜の月」を観た。

板橋区立教育科学館のプラネタリウムで「眠れない夜の月」を観た。主人公である少年の元に月の民だというリスが来て、月が木の枝に引っ掛かって動かなくなったので外しに行くというので、主人公も一緒に行って手伝うという、絵本のような話。 脚本・監督・ア…

古書は生もの

職場から歩いて行けるところに古書店(新刊書も売る)があると知り、昼休みに行ってきた。神保町をうろつくのがライフワークになっている私であるから、どうせ大した品揃えじゃないだろうと高を括って店に入ったのだが、けっこう良かった。メリメの『シャル…

或る「フィクションドキュメンタリー」

フィクションドキュメンタリー「荒川氾濫」 H29 3 改訂版 先日、地元の町内会でこの映像の上映会があったが行けなかったのでようつべで見た。「フィクションドキュメンタリー」は語義矛盾だと思うが…もし荒川が決壊してこの映像の通りになったら怖いもんだと…

貧すれば鈍する

「貧すれば鈍する」という諺があるが、近ごろこれを実感することが多い。 もちろん貧乏しているわけではない。この言葉は普通、経済的困窮に陥ると精神の働きも鈍ってしまうという意味だ。だが私は、時間や心の余裕を失うことによっても知性や感覚の働きが鈍…

恥ずかしい歴史無教養

加藤恭子『ノンフィクションの書き方』(はまの出版、1998)を読んでいる。 この本の冒頭では、ノンフィクションを書くために世界史を頭に入れておくよう強調されている。 物を書く仕事をするようになり、学校でもっと勉強しておけば良かった、と思った最た…

武蔵小杉の開発

私はかつて川崎市に住み、たまに川崎フロンターレの試合を観に等々力に出掛けていた。武蔵小杉にも、何回か行ったことがある。今日、仕事で武蔵小杉駅まで行ったので南側をぶらぶら歩いてみた。 タワー、タワー、タワー、タワー…。 タワーマンションがこれで…

常盤台のクルドサックとロードベイ

越澤明の『東京都市計画物語』(ちくま学芸文庫、2001年)の常盤台の章を読んでいたら実際に見たくなったので行ってきた。 常盤台が東武鉄道によって開発されたのは1935年から1938年。宅地造成される前は上板橋村といったそうだ。田園調布、成城学園、そして…

都内最大のニリンソウ自生地

都立赤塚公園大門地区には都内最大のニリンソウ自生地がある。ニリンソウは板橋区の花で、今、見ごろを迎えている。散歩ついでに見に行ってみた。すごく見応えがあった。

溝口健二の背中の傷

溝口健二(1898-1956)の戦後の代表作『西鶴一代女』(1952)の助監督を務めた内川清一郎は、京都の「松華楼」という旅館で溝口と一緒に風呂に入り、溝口の背中を洗おうとして、そこに一筋の刀傷があるのを見た。 その傷は柳の葉っぱより少し大きいもので、…

良縁と悪縁

企業やクリエイターにポートフォリオがあるように、人間関係にもポートフォリオがあるようだ。ある人がそのことに言及していて、それを読んだ私は「要するに“縁”のことかな?」と思った。人はつねに色んな人間関係を結んでいるものだ。それはつまり、縁だろ…

人を育てること

新年度が始まった。今ごろは恐らく、多くの会社で新人たちが研修を受けている。研修をする先輩や上司は、新人の知識量や意欲を測りながら自社の事業や方針、ルールなどについてレクチャーしているのではないだろうか。私も、新人や後輩にライターの仕事を教…

街中の「ぐりとぐら」

勤め先から遠からぬところに福音館書店がある。そのことはもう何年も前から知っていたが、会社ビル壁面の時計が「ぐりとぐら」であることは知らなかった。よく見ると、太陽光発電で動いているようにも見える。 我が家には子供に買った「ぐりとぐら」シリーズ…

マーク・トウェインとウォルト・ディズニー

中学校の修学旅行以来、20年以上ぶりにディズニーランドに行った。家族と一緒に行き、私はきっと一人で退屈するんだろうなと思っていたが、楽しかった。一つ一つの作品のコンセプトを実によく具現化しており、遊園地には違いないが作品の世界を感じることが…

人間に神は必要か?

平井正穂訳『ロビンソン・クルーソー』の上巻をようやく読み終えるところである。通勤電車でのわずかな時間にしか読めないからずいぶん時間がかかるが、重厚かつ長大な小説で、読みでは十分だ。 クルーソーが島にいた期間は28年と2か月19日。この話はもちろ…